YAMADARIUM

本棚「信じ直す」の棚

信じ直す

前髪と三日月

秋野唄(AKINO Uta)

欠けて見える月は、本当に欠けているのでしょうか。

一

この本について

大人ぶって分けた前髪が、全然似合っていないと笑うところから始まる歌です。

背伸びして買ったリップも、自分を隠すための絵の具でした。完璧な誰かになりたくて、自分の欠片を削り落とし、足りないものばかり数えては、ため息で夜を濁していく。愛想笑いでやり過ごすたびに、本当の顔が分からなくなります。

正解の形にはまらず、自己嫌悪で潰れそうな夜。それでも、いびつなままで息を吸って、朝を待つだけでいいと歌は続きます。三日月は最初から丸い。光が当たっていないだけで、足りないのではなく、隠れているだけだから。

無理に変わろうとしなくても、無理に笑おうとしなくても、足りないままで完璧。前髪を崩して笑い合い、揺れ動く自分を丸ごと愛そうとする一冊です。

二

見方を裏返す

表は、よくある見方。裏には、この詞の見方が書いてあります。

歌詞の中の、その一節へ

三

本文

読み進めるほど、言葉に灯りがともっていきます。心に残った行は、押すと栞をはさめます。金色の言葉は、ほかの本につながっています。

37 行

大人ぶって分けた全然似合ってなくて笑える背伸びして買ったリップも自分を隠すための絵の具だ

完璧な誰かになりたくて削り落とした自分の欠片足りないものばかり数えてはため息でを濁にごしていく

欠けた三日月 泣かないでくれ見えないところ そこにあるから無理に変わろう としなくたってきみは綺麗だよ

愛想笑いでやり過ごすたび本当の顔が分からなくなるっぽな自分を誤魔化ごまかしていい子を演じるのはやめろよ

正解の形にはまらなくて自己嫌悪で潰つぶれそうな夜なままでも息を吸って朝を待つだけのぼくらでいい

ダメな自分を 責めないでくれ見えない傷が きみを守るよ今はそのまま うつむいたって明日は笑えるよ

は最初から丸いんだが当たってないだけだろ足りないんじゃなくて、隠れてるだけ揺れ動く自分を愛してやれよ

細い三日月 見上げてごらん見えない明日が そこにあるから無理に笑おう としなくたってぼくは傍にいる

足りないままで 完璧なんだ不格好なステップを踏んで前髪を崩して笑い合おうきみはきみのままで丸ごと愛してやれ

目録カード

「光」が出てくる、ほかの本 15 冊

目録カード

「夜」が出てくる、ほかの本 16 冊

目録カード

「空」が出てくる、ほかの本 20 冊

言葉の寄り道 ・ 語源・本来の意味

いびつ

「いびつ」は、楕円形の器「飯櫃(いいびつ)」が変化した言葉

寄り道する

言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖

月の満ち欠け

月はいつも半分が太陽に照らされていて、見える部分だけが変わる

寄り道する

言葉の寄り道 ・ 語源・本来の意味

前髪

「前髪」は、元服前の若者を指す言葉でもあった

寄り道する

四

あとがき

月はいつも、半分は太陽に照らされています。満ちたり欠けたりして見えるのは、照らされた側のどれだけが見えるかが変わるからです。変わっているのは、見ているこちらとの位置のほうなのです。「前髪」は、昔は元服前の若者を指す言葉でもありました。大人になるときに剃り落とされるものだったのです。「いびつ」は、楕円形の飯櫃(いいびつ)が変化した言葉だとされます。まん丸ではない形の名前は、ごはんを入れる器から来ていました。足りない部分があることは、直すべきことだと思われがちです。でも、いまは光の当たっていない部分があるだけ、と考える見方があってもいいのではないでしょうか。

五

この本の歌を聴く

近日公開予定です。

六

向かいの棚から、一冊

この本とは、少し違う見方の本です。

Lit from Down Here分け合う読了欠けて見える月は、本当に欠けていますか。

「信じ直す」の棚の向かいには、「分け合う」の棚があります。

七

次の一冊を探す

この本を閉じたら、また本棚へ。