YAMADARIUM

本棚「信じ直す」の棚

信じ直す

The Birds Are Passing It On

Yamadarium

眠れなかった夜明けに聞こえたその声は、どこから来たのでしょう。

一

この本について

2時半から眠れないまま迎えた夜明け、窓の外で、小さな鳥の声がひとつ聞こえる。そんな歌です。

4時45分。朝なんて来ないと思えてくるほど疲れて、窓はただの、壁の灰色の四角。そこへ前ぶれもなく、さえずりがひとつ。

その歌は、ここで始まったのではありませんでした。めぐる夜明けのふちに沿って、東から西へ、鳥から鳥へ、灯りを手渡すみたいに、夜通し旅をしてきた。何時間も前にオークランドで誰かが聴いた歌が、まだあたたかいまま、いま窓辺に届いている。

仕切る人もいない、給料もない。コマドリもスズメも、自分のパートを歌うだけ。東京へ、ナイロビへ、リスボンへ、そしてまた巡る。

受け取った歌を、今度はあなたの窓辺へ。夜明けの声に耳をすます一冊です。

二

見方を裏返す

表は、よくある見方。裏には、この詞の見方が書いてあります。

歌詞の中の、その一節へ

三

本文

読み進めるほど、言葉に灯りがともっていきます。心に残った行は、押すと栞をはさめます。金色の言葉は、ほかの本につながっています。

48 行

Somewhere east of here, it's already begun.(ここより東のどこかで もう始まってる)

Four forty-five, I've been awake since half past two,(4時45分 2時半からずっと起きてる)that kind of tired where you stop believing in the morning,(朝なんて来ないと思えてくる そんな疲れなんだ)the window's just a gray rectangle on the wall,(窓はただの 壁の灰色の四角)then one small voice outside, a warble, no warning(そのとき外で 前ぶれもなく 小さなさえずりがひとつ)

Here's a thing I didn't know until this year:(今年になって 初めて知ったこと)it didn't start here, it's been travelling all night,(歌はここで始まったんじゃない 通し旅をしてきた)along the turning edge of dawn, from east to west,(めぐる夜明けのふちに沿って 東から西へ)handed bird to bird, the way you'd pass along a light(鳥から鳥へ 灯りを手渡すみたいに)

The birds are passing it on,(鳥たちが 歌をつないでく)passing it on, passing it on,(つないでく つないでく)it left from Auckland hours ago,(何時間も前に オークランドを発って)and now it's at my window,(いま 私の窓辺に)the birds are passing it on(鳥たちが 歌をつないでく)

Some woman out in Auckland heard this hours ago,(オークランドのどこかで 何時間も前に誰かが聴いた)maybe she was tired too, maybe she was smiling,(その人も疲れてたかも 笑ってたかも)she couldn't know the song would cross the sea for me,(この歌が海を越えて 私に届くなんて 知るはずもない)but here it is, still warm, it never stopped arriving(でもほら まだあたたかいまま 途切れず届いてる)

And nobody's in charge of it, and nobody gets paid,(仕切る人もいない 給料もない)the and the just pick up their part,(コマドリもスズメも 自分のパートを歌うだけ)the sings a little, then the next one joins,(最初の一羽が少し歌って 次の一羽が加わる)and by the time it's light, there's no one left out(明るくなる頃には 仲間はずれは もういない)

The birds are passing it on,(鳥たちが 歌をつないでく)passing it on, passing it on,(つないでく つないでく)from Auckland on to Tokyo,(オークランドから 東京へ)and now it's at my window,(いま 私の窓辺に)a little warble, then a song,(小さなさえずりが やがて歌に)the birds are passing it on(鳥たちが 歌をつないでく)

Auckland, Sydney, Tokyo, Seoul,(オークランド シドニー 東京 ソウル)Manila, Bangkok, Delhi, on it goes,(マニラ バンコク デリー まだまだ続く)Nairobi, Istanbul, Rome, and Paris,(ナイロビ イスタンブール ローマ そしてパリ)Lisbon, Reykjavik, Rio, New York,(リスボン レイキャビク リオ ニューヨーク)Mexico City, LA, Honolulu,(メキシコシティ ロサンゼルス ホノルル), round again, round again(また巡る また巡る また巡る)

The birds are passing it on,(鳥たちが 歌をつないでく)passing it on,(つないでく)from Auckland on to Tokyo,(オークランドから 東京へ)from Tokyo to Nairobi,(東京から ナイロビへ)and now it's at my window,(いま 私の窓辺に)the birds are passing it on(鳥たちが 歌をつないでく)

The birds are passing it on,(鳥たちが 歌をつないでく)passing it on, passing it on,(つないでく つないでく)from Auckland on to Tokyo,(オークランドから 東京へ)from Tokyo to Nairobi,(東京から ナイロビへ)Nairobi on to Lisbon,(ナイロビから リスボンへ)and now it's at your window,(いま あなたの窓辺に)a little warble, then a song,(小さなさえずりが やがて歌に)so I'm passing it on, I'm passing it on(だから私も つないでいく つないでいく)

言葉の寄り道 ・ 語源・本来の意味

コマドリ

アメリカの robin(ロビン)は、胸の色がヨーロッパのロビンに似ていたことから、入植者が同じ名前で呼んだ鳥

寄り道する

言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖

最初の一羽

夜明けにどの鳥から歌いはじめるかは、目の大きさと関わっていて、目の大きい鳥ほど暗いうちから歌う

寄り道する

言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖

スズメ

北アメリカのイエスズメは、1851年にイギリスからニューヨークのブルックリンへ運ばれた鳥がはじまり

寄り道する

言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖

夜明けのコーラス

5月の最初の日曜日は「国際夜明けのコーラスの日」。世界の各地で、夜明けの鳥の声を聴く集まりがひらかれる

寄り道する

四

あとがき

夜明けの鳥の声は、窓の外の一羽が、ただ鳴いているだけ。そう聞こえるのがふつうです。でも、鳥が歌いはじめる時刻は、明るさで決まります。2002年のイギリスの研究では、目の大きい鳥ほど暗いうちから歌いはじめることが分かりました。夜明けは東から西へ動いていくので、歌いはじめる時刻も、夜明けといっしょに地球を巡っていきます。オークランドで誰かが聴いた声と、あなたの窓辺の声は、ひと続きなのかもしれません。眠れなかった夜の終わりに受け取ったものは、ちゃんと受け取れています。それを次の誰かへ手渡すのは、明日の朝でかまいません。

五

向かいの棚から、一冊

この本とは、少し違う見方の本です。

Crickets on the Night Shift比べない読了静かな夜は、本当に空っぽですか。

「信じ直す」の棚の向かいには、「比べない」の棚があります。

六

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