三
本文
読み進めるほど、言葉に灯りがともっていきます。心に残った行は、押すと栞をはさめます。金色の言葉は、ほかの本につながっています。
Have you ever stood where the water's just been,(海が引いたばかりの場所に 立ったことはある?)all the stones still streaming, slick and dark,(どの石も まだ水をしたたらせて 黒く ぬめって)and the air all salt and kelp?(気は 潮と海藻の匂い)
The bookstore's shut a week, the shelves are swept clean,(本屋を閉めて 一週間 棚はすっかり空にした)took the sign down, didn't leave a mark,(看板を下ろして 跡も残さず)and I didn't ask for help.(誰にも 助けてと言わなかった)
I came out here while the water's pulling back(潮が引いていくなか ここへ来た)and slipping farther out each minute,(すべるように 一分ごとに沖へ)like it's leaving me as well.(私まで 置いていくみたいに)
Turn the stone and there's a whole world, holding on,(石を裏返すと 世界中が しがみついてるんだ)red , closed up like fists,(赤いイソギンチャク 拳みたいに閉じて)it's what the tide left showing,(潮が引くのを待って 現れた)and it waits, not gone.(消えてなんかいないんだ)
A crab backs under, and a snail holds its place,(カニは後ずさりで隠れ 巻貝はじっと動かない)the shut their tiny doors,(フジツボは 小さな扉を閉じる)nobody's panicking here.(ここでは誰も 慌てていない)
They hold a little sea in, keep their own pace,(小さな海を 内に抱えて 自分のペースで)until the whole sea comes back and pours,(海がまるごと 流れこんでくるまで)and I'm one of them this year.(今年は 私もその仲間になるんだ)
, then six hours in, it keeps its track,(6時間引いて 6時間満ちる いつもどおりに)and everything that's living in it(そこに生きるものはみんな)holds the waiting in a shell.(待つ時間を 殻にしまっている)
Nose down to the tide pool, salt and rot and green,(潮だまりに 鼻先を寄せる 潮と 腐ったものと 緑の匂い)a moves in someone's old house,(ヤドカリが 誰かの古い家に引っ越す)it's what the tide left showing,(潮が引いて 現れたのは)all I'd never seen.(見たことのないものばかりだった)
When it all pulls back, the bare rock isn't bare,(何もかも引いたあと むき出しの岩も むき出しじゃない)all the stubborn little lives that waited,(待ちつづけた しぶとい小さなたち)it's what the tide left showing,(潮が引いて 現れたもの)and I'm living there.(私も そこで生きている)
Six hours, and it all comes in,(6時間で すべてが満ちてくる)I can wait for that.(その時を 私は待っているんだ)
最後の一行まで、読んでくださってありがとうございます。
目録カード
「空」が出てくる、ほかの本 10 冊
『Crickets on the Night Shift』比べないの棚暗闇は 空っぽなんかじゃなかった
『Dew on Everything』立ち止まるの棚冷たい空気が そっと喉に触れる
『Fifteen Degrees Up』選び直すの棚空はずっと 席をあけて待ってた
『Fly Beyond』踏み出すの棚その瞳に、燃えるような空を映している
『Fragile』立ち止まるの棚大空に
『「いただきます」の祈り』分け合うの棚共通の空腹を
『Lit from Down Here』分け合うの棚私たちの光が 空へ返っていく
『魔法が解けたシンデレラ』信じ直すの棚空っぽだと気づいたんだ
『Noon at the Bottom of the Year』忘れないの棚空いたベンチを 端から端へ じりじりと
『Still Red Underneath』信じ直すの棚ほんの少し 空気を送っただけ それだけ
目録カード
「命」が出てくる、ほかの本 2 冊
言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖
イソギンチャク
引き潮で水の外に出たイソギンチャクは、触手をしまいこんで、体が乾かないようにしている
寄り道する言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖
フジツボ
ダーウィンは『種の起源』の前に、8年をかけてフジツボの仲間を調べた
寄り道する言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖
ヤドカリ
空いた貝殻を見つけたヤドカリは、大きい順に一列に並び、順番に殻を引っ越していくことがある
寄り道する言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖
6時間
満潮から干潮までは、およそ6時間12分半。潮の時刻は、毎日少しずつ遅れていく
寄り道する
