YAMADARIUM

本棚「選び直す」の棚

選び直す

通り雨とスニーカー

秋野唄(AKINO Uta)

予定がぜんぶ崩れた日は、最悪な日ですか。

一

この本について

最悪な日だ、どしゃぶりの雨だ、予定は全部めちゃくちゃだ。そう言いながら、なんだか少し笑えてくる歌です。

ダメだった結果の画面を閉じて、ため息をついた駅までの道。追い打ちのように雨が降り出し、傘もないまま走り出す。お気に入りの白いスニーカーは、跳ねた泥で汚れていきました。どうしてぼくだけ、と天を仰いで悪態をつきます。

逃げ込んだ軒下で、息を切らしたまま、きみと目が合う。前髪からしずくが滴って、惨めなはずなのに、馬鹿みたいだねと笑ってしまう。失敗しないための完璧な計画は、息が詰まるだけだった。

失敗したって死ぬわけじゃない。雨が上がるのを待たずに、水たまりを思い切り蹴り上げて、崩れた予定の景色を今日一番の思い出にしていく一冊です。

二

見方を裏返す

表は、よくある見方。裏には、この詞の見方が書いてあります。

歌詞の中の、その一節へ

三

本文

読み進めるほど、言葉に灯りがともっていきます。心に残った行は、押すと栞をはさめます。金色の言葉は、ほかの本につながっています。

42 行

最悪な日だの雨予定は全部めちゃくちゃになるでもなんか少し笑えてくるな

ダメだった結果の 画面を閉じてため息をついた 駅までの道追い打ちみたいに 降り出した雨傘もないままで 走り出したんだ

お気に入りの 白い跳ねた泥で 汚れていくどうしてぼくだけこんな目に遭うんだって天を仰あおいで 悪態あくたいをつく

予定通りに いかない日々を呪うのやめて 雨宿りしようずぶ濡れになれば もう怖くない食って 帰ればいいさ

軒下のきしたに逃げ 息を切らしてきみとふたり 目を合わせる前髪から 滴したたるしずく惨みじめなはずなのになんか馬鹿みたいだねって笑った

失敗しないための 完璧な計画なんてただ息が詰まるだけだったんだ予定が狂うくらいの が今のぼくらには 丁度いいだろ

レールを外れ 遠回りして知らない街で 雨宿りしよう失敗したって 死ぬわけじゃない泥だらけでも 歩いていける

最悪な日も 土砂降りな日もきみがいるなら 笑い飛ばせるよずぶ濡れのままで 次へ進もう雨が上がるの 待たなくていい

水たまりを 思い切り蹴り上げてぼくらはもう 迷わないよ予定が崩れた この景色を今日一番の 思い出にしてやるんだ

汚れたきみのスニーカーもなんだか悪くないね

言葉の寄り道 ・ 語源・本来の意味

スニーカー

sneaker には、「こっそり動く人」という意味もある

寄り道する

言葉の寄り道 ・ 歌詞の解剖

どしゃぶり

気象庁の表では、「どしゃ降り」は1時間に20〜30ミリの雨のイメージ

寄り道する

言葉の寄り道 ・ 語源・本来の意味

ハプニング

happening(ハプニング)と happy(幸せ)は、どちらも「運」を意味する hap から

寄り道する

言葉の寄り道 ・ 言い回し

道草

「道草を食う」は、馬が道ばたの草を食べて進みが遅くなることから

寄り道する

四

あとがき

ハプニングの「ハプ」は、運やめぐり合わせを表す古い語 hap にさかのぼります。英語の happy も、同じ hap から生まれた言葉です。思いがけない出来事と幸せは、もとをたどると同じところに行き着きます。「道草」も、馬が道ばたの草を食べて進みが遅くなることから来ました。スニーカーの sneaker という語には、「こっそり動く人」という意味もあります。どしゃぶりの中を走るその靴は、静かとは言えなかったようですが。予定が崩れるのは、運の悪いことだと思われがちです。でも、予定どおりに進んでいたら通らなかった軒下があります。濡れたまま笑った数分を、いちばんの収穫に数える見方があってもいいのではないでしょうか。

五

この本の歌を聴く

近日公開予定です。

六

向かいの棚から、一冊

この本とは、少し違う見方の本です。

Rain Plays the Whole Street選び直す読了ずぶ濡れの帰り道は、ただの災難ですか。

「選び直す」の棚の向かいには、「選び直す」の棚があります。

七

次の一冊を探す

この本を閉じたら、また本棚へ。